No.50 馬ニンジンは逆効果?!

 

あなたは子供に、「ケーキを買ってあげるから

勉強しなさい!」とか、「○○をしてあげるから

△△をしなさい!」と言うような動機付けを

したことがありますか?

 

実はこのようにご褒美をあげる的な、

馬にニンジンをぶら下げるという様な

外的な動機付けは、子供の成長にも

また結果を出す上でも逆効果になるかも

知れません。

 

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アメリカの作家で、アルゴア前副大統領の

スピーチライターだったとしても知られている

ダニエル・ピンク氏が、TEDのスピーチの

中で話しています。それは、

 

「人間は褒賞や罰といった外的なモチベーション

(動機)では、生産性が向上しない」ということ。

 

例えば、ある実験にて2つのグループに対して、

簡単な問題を被験者に解いてもらいました。

 

最初のグループには回答時間の平均を調べる

ためと説明しました。

 

もうひとつのグループには早く解いた方から

25%の人には5ドル、一番早く解いた人

には25ドルの報酬を与えると伝えました。

 

その結果、回答時間はどうだったかというと、

平均で3分半余分に時間が掛かりました

・・・報酬を提示されたグループの方がです。

 

またMIT(マサチューセッツ工科大学)の

生徒を対象に行ったゲームを使った実験では、

目的とやり方が明確なシンプルなゲームでは

報酬はその威力を発揮しました。

 

しかし認知力や創造力が必要なゲームになると

報酬を与えられたグループは、そうでない

グループに比べ生産性が低下し、

逆効果となりました。

 

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著名な作家であり心理学者でもある

アルフィー・コーン(Alfie Kohn)氏が

その著書、

「Unconditional Parenting

(直訳:無条件な子育て)」

の中で述べています。

 

「褒賞や罰は、子供が親の言うことを聞く

というな短期的な結果を得るには有効かも

しれないが、長期的には逆効果である」

 

「責任感があり他を思いやれる人間になる、

というような長期的な目的のために、

親が子供に何をするべきなのかを

考える必要がある。それは褒賞や罰を

与えることでは得られない」

 

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ダニエル・ピンク氏はいいます。

「過去の労働者に求められた様な

単純作業だけであれば、報酬を与えることで

生産性を向上させることは出来た。

 

でも21世紀、これからの人間に

求められるのはより様々なタスクが

組み合わさった創造性や認知力が

必要な作業であり労働だ。

 

それに必要なのは報酬や罰と言った

外的なモチベーション(動機付け)

ではなく、内的なモチベーションだ。」

 

そして内的なモチベーションとして

次の3つを彼は挙げています。

 

Autonomy(自主性)
自分で決める、判断する、決断する等

Mastery(成長)
自身が成長するために学ぶ、努力する等

Purpose(目的)
大きな目的、例えば社会貢献や環境保護等

 

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子供でも大人でも、自分で決めた事には

より責任を持とうとするものです。

それは押し付けられたものではなく、

自らやるという強い動機付けとなります。

 

子供は本来強い好奇心を持っています。

それは知ること、学習することによって

自身が成長するという、生存するための

本能として赤ちゃんの時からあるものです。

それ自体が既に強い動機付けなのです。

 

人間は社会的な動物ですから、一人では

生きては行けません。そのためある程度

成長してくると、自らが属する集団のため、

社会のため、そして環境のために貢献する

等の目的のためという動機付けが育ちます。

 

参考資料:

ダニエル・ピンク(TEDビデオ)
http://www.ted.com/talks/dan_pink_on_motivation (英語)
http://digitalcast.jp/v/14577/(日本語)

アルフィー・カーン
http://en.wikipedia.org/wiki/Alfie_Kohn
http://www.unconditionalparenting.com/UP/

 

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いかがでしょうか?

 

忙しい毎日の中、ややもするとすぐ

目の前の事を取りあえず片付けるため、

学校の宿題を終わらせるため、

泣き止ませるため、ケンカを止めるため、

等などのために、ご褒美を与えたり、

罰を与えたりしていませんか?

 

それは短期的な解決になるかも知れません。

 

私たち親は人それぞれ違っても、

何かしら自分の子供に、こうなって欲しい、

こんな子供、そして大人になって欲しい

という気持ちは持っていると思います。

 

でもそういう長期的な目的のために、

子供に対して今何をするべきかというと、

意外と分からないことが多いですね。

 

だから以下の3つの動機付けは

その指針と成り得るように思います。

 

Autonomy(自主性)
自分で決める、判断する、決断する等

Mastery(成長)
自身が成長するために学ぶ、努力する等

Purpose(目的)
大きな目的、例えば社会貢献や環境保護等

 

これらを子供本人の内からの動機として

伸ばしてあげることが出来れば、

怒ることもご褒美も必要なく、

伸び伸びと育ってくれる様に思えます。

 

そしてよりグローバル化するこれからの

社会の中では、自らの意思で動ける

人こそが逞しく生き延びて行けるのでは

ないでしょうか。

 

あ、あと前述のアルフィー・コーン氏の

著書の中で、子供が必要なのは

「○○をしたから愛している」という

行動条件付きの愛情ではありません。

 

「何をしてもしなくても愛している」

という無条件の愛情なのだと。

 

ご褒美というものよりも、

口先だけの応援よりも、

心からの「良くがんばったね」

のひとことが大切なのです。

 

失敗しても、言うことを聞かなくても、

罰を与えるのではなく、

子供の立場になり支えてあげられる

心からのサポートが大切なのだと。

 

そんなことは理想だと思うかも知れません。

でもそれに気づくことが大切だと思います。

 

完璧ではなくてもその理想に近づけるように

工夫と努力をして行く事。そうしていけば、

より良い親子関係にもなるかも知れませんね。

 

ご参考になれば幸いです・・・(^^)

 

・・・詳しくは音声で。

 

※この記事は2014年6月14日にYouTubeで発信したものです。

⇒ https://youtu.be/jk80mRoSszU