1万年時計というのを聞いたことがあるでしょうか?ロングナウ協会という団体が進める1万年時計のプロジェクトの話を、最近初めて耳にしました。それは100年から1000年という単位で歴史や未来を捉えるのではなく、旧石器時時代、農耕文明からの1万年、そして新たな1万年という長い視点で考えようと呼びかけ、そのモニュメントとして1万年の時を刻み続ける巨大時計をアリゾナの僻地へ建設するという計画だそう。
1万年先まで動くために気候の変動にも左右されない岩山に大きな穴を開けて、その中に巨大な歯車たちとゼンマイと大きな振り子という、電気を当てにしない巨大な機械仕掛けの時計を作っている。本気でこういうものを作ってしまおうという発想、そして行動力は「すごい!」としかいいようが無い。
しかし気の長い話だけれど視点を1万年をベースで考えると、確かに1000年や100年が短く感じるから不思議。10年とか1年とかは本当に瞬きの瞬間にしか過ぎないように思える。ややもすると今の生活、次の2、3年程度、長くても10年とか自分の人生の間程度しか考えていないのが現実だけに、この途方もなく長い時間にフォーカスをすることは、今の自分たちが何をするべきかということを考えるためにも必要かも知れないですね。
あと先日、ラグジュアリーな電気自動車の開発で有名な、テスラ社の創設者であるイーロン・マスクさんの4月のTEDトークを見ました。次々と斬新なアイデアを出してはそれを現実化している彼の話しは、とっても面白いし何よりも先を想像させてくれる力があるなと思う。
PayPalで新しい金融システムを作り、SolarCityで多くの家々にソーラーパネルの設置を飛躍的に促進し、テスラで電気自動車をより魅力的にし、そしてSpaceXでは民間の有人宇宙ロケットを開発している。ちょうどSpaceXのロケットの垂直着陸テストが成功したばかり。
そんなイーロン・マスクさんの次のプロジェクトは地下に穴を掘り、そこにハイウェイを作り出すというもの。渋滞だらけのロスアンゼルスに住む彼ならではの発想かも知れない。更に彼は既に真空に近いパイプ内にリニアモーターカーを走らすハイパーループというプロジェクトも進めている。既存の高速鉄道など比較にならない超高速鉄道になるのだそう。
その彼が近い将来の惑星間飛行を目指して、高層ビルよりも大きい巨大なロケットを作り火星へ数百人もの人や資材を移動するという計画を持っているそう。NASAなどの既存の政府機関ではなく、それを民間の力でやろうというところ、そしてそのスケールの大きさが凄い。
そんな彼にインタビュアーが「地球上にまだまだ多くの問題があるのに、なぜ火星へ人を送らなければいけないのか?その労力を地球上の問題に向けるべきではないのか?という意見があるがどう思うか?」という質問があった。それに対し彼が言っていたのは、「1969年に人類は月まで行った、その後スペースシャトル計画もあったが、それは大気圏外に物を送る程度のものだ。実際には宇宙開発はそれほど進んでいない、いや後退しているのではないか。新しい技術は多くの人々が挑戦し続けることからしか生まれないものだ」と。
最後になぜ彼はこのように新しいことに挑戦し続けるのかという質問に対し、「ビューティーとインスパレーションの価値が低く見られていることは間違い無いと思う。ただはっきりと言いたいのは、私は誰かを助けようとしているわけではない。私はただ未来を考えようとしているだけ、悲しくなりたくないのです」と。
かって子供の頃に純粋に持っていた「未来を考えるということ、想像するということ」を、私たちは忘れかけているかも知れませんね。そして忙しい現代の子供たちには、そういった機会や時間もあまり与えられていないように思えます。今一度、星を見てはるか彼方の宇宙を想像し、石ころを見てそれが作られた過去何万年もの歳月を想像し、木々を見て数先年もの世代を超えて今に至っていることを想像してみると、何だかワクワクして来ますね。どうでしょう?今日から少し未来のことを考えて見ては。
・・・続きは音声で。
Podcast: Play in new window | Download