最近はオーガニックや無農薬、減農薬といった
表示を各種の農作物や食品の表示に見かけますね。
それだけ人々が農薬の安全性に不安を感じて
いるということでしょう。
農薬は病気や害虫から農作物を防ぐことが目的
ですから、それ自体が病原菌や昆虫にとって
有害なもので、多くの農薬は神経毒といわれます。
出来るだけオーガニックや無農薬のものを選ぶ
のが理想的ですが、それと同時に調理をする前に
洗うことで効果的に農薬を取り除く方法があります。
今回はその方法をご紹介したいと思います。
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「果物・野菜の農薬を取り除く効果的な方法」
Journal of Agricultural and Food Chemistry
(農業と食品化学ジャーナル)誌に掲載された
最近の研究によると、ベーキングソーダ(重曹:
重炭酸ナトリウム)の水溶液を使用することで、
リンゴの皮の表面の農薬を効率よく除去出来る
ことが確認されました。
実験では、水道水だけの場合、漂白剤の水溶液の場合、
ベーキングソーダの水溶液に、24時間農薬にさらした
りんご(ガラ種)を一定時間浸し、その後の残留農薬の
量を比較測定しました。
その結果ベーキングソーダの水溶液を使用した場合、
1分以上でりんごの皮の表面の残留農薬が大幅に減少し、
さらに12~15分でほぼ完全に農薬を除去する事が出来ました。
これはベーキングソーダ水溶液が、今回の実験で
使用されたチアベンダゾール(防カビ剤、防腐剤として
ポストハーベスト農薬として輸入農作物に多く使用される)と
ホスメット(果物や稲などの害虫に対する殺虫剤として
多く使用される)の2種類の農薬を分解するのに
役立つからと考えられます。
但しベーキングソーダ水溶液は、他の化学薬品には
同じように反応しないかも知れないため、
この解決策は全ての農薬を除去する保証はありません。
そうだとしても水道水だけの場合と漂白剤の水溶液の場合は、
この2種類の農薬を完全に除去することが出来ない
という実験結果であり、ベーキングソーダの効果は
それらよりもはるかに優れていると言えるでしょう。
実験のもうひとつのポイントがあります。
使用した農薬、チアベンダゾールとホスメートは、
他の多くの物質と同様に農産物の皮から中に浸透します。
ベーキングソーダ水溶液がリンゴの皮に浸透した
農薬残留物を除去するの有効性は、農薬が果物の
奥深くまで浸透するにつれて減少しました。
結論としてベーキングソーダ水溶液は、りんごの皮の
表面の農薬を除去するのは非常に有効ですが、
果物の奥深くまで浸透した農薬を完全に除去することは
出来ませんでした。
以上より農薬を完全に除去するために最も有効な方法は
厚めに皮むきをすることと言えます。但しその場合は
皮に含まれる有用な生理活性物質も同時に失われる
ことになりますので、やはりオーガニックや無農薬の
農作物を積極的に利用することが、農薬が私達の
体への影響を減らす最も有効な方法なのかも知れません。
参考:Journal of Agricultural and Food Chemistry
いかがでしょうか?
結局はオーガニックや無農薬栽培の農作物を
食べた方が良いという結論ですが、でもそれが
可能で無い場合も多いですし、また皮を剥いて
食べるものや料理をするものの場合は、
このベーキングソーダ(重曹)を使った洗い方は
農薬を除去する上ではとっても有効ですね。
具体的な方法としては、ボウルや鍋などの器に
水を入れ、器の大きさにもよりますが、
重曹を小さじ1~2杯程度を入れて溶かします。
この実験で使用された用量は1リットル当たり
10グラムですが、それほど厳密である必要はありません。
その重曹水に野菜や果物を1分以上、数分間浸して
おくだけです。あとは軽く水ですすいでOKです。
但し皮の厚い果物や根菜類は上記で問題無いですが、
ほうれん草やレタスの様な葉を食べるものは、
30秒程度で良いでしょう。
長く浸して完全に農薬を除去したいという
気持ちも分かりますが、逆に果物や野菜の栄養素が
溶け出してしまう可能性もありますので、
実験の様に10分以上も浸す必要はありません。
少しでも農薬の影響、特に小さなお子さんの
場合はその影響が大人よりも大きいと言えますので、
この重曹水による方法、ぜひ活用してみて下さいね♪
今回の記事がお役に立てれば幸いです。(^^)/